❒ それから、2、3ヶ月後だったでしょうか、彼女と偶然、六本木で再会したのでございます。
傍らには、何やら彼氏らしき男性。
ワタクシは、敢えて知らん振りしていましたが、彼女の方から、
「元気?」
と声を掛けてきてくれたのでございます。
ワタクシは、わぁ!とか言って驚いた振りをしていましたが、内心、ドキドキです。
あの人形のことが頭から離れず、自然とシャキっとしてしまったのでございます。
ただ、彼女はそんなことは素知らぬ風で、傍らにいた男性を、
「私のボーイフレンド」
と言って紹介してくれました。
その男性は、こう言ってはなんですが、ハジケまくってる彼女と違って、とても地味で真面目風な感じがし、ワタクシにとても丁寧に挨拶してくれたのでございます。
ただ、何やら怯えている様子。
「まっ、相手が魔女なら、そりゃそうだわな。」
と口には出しませんが、ワタクシが納得顔で、
「彼女とは長いの?」
と彼に話しかけると、彼は意外にも色々話してくれのでございます。
どうやら、二人は大学で同級生だったらしく、そこからの付き合いで、かれこれ5年以上は付き合ってるとのこと。
それから、彼女はやはり並ではありませんでした。
彼女の実家は大変、裕福で、ワタクシでも知っている有名な大学でAdvertisingを専攻していました。
ただ、自由奔放な性格であることから、世界中を旅し、暇をみつけては彼が彼女に会いに来るというライフスタイルをとっていたのです。
ワタクシはその話を聞いた時に、
「だよな。彼女、普通じゃないもん。」
と、ポロっと言いますと、彼は、パァと顔が明るくなり、
「わかってくれる?!」
と、ワタクシの肩をポンポンと叩き、そこからワタクシ共は一挙に打ち解けていったのでございます。
彼は、ワタクシに普通なら考えられない様な突っ込んだ話をしてくれました。
彼女の方は、もう、まったく!という顔でしたが、ワタクシ共が余りに熱心に話をしていたので、暇を持て余したのか、知人を見つけて、そちらの方に行ってしまったのございます。
ワタクシは、それを見て、今しかない!と言わんばかりに、
「あの人形、見た?」
と彼に聞いてみました。
彼は、少し驚いた顔をして、
「何度も。」
と、返してきたのでございます。
その言葉を聞き、ワタクシは、この彼と彼女の生活が容易に想像できず、
「彼女、普段はどんな感じなの?」
と聞くと、
『She’s extreme.』(彼女、凄くて…。)
と返してきたのでございます。
ワタクシは、彼女の性格が凄いのか、それともワタクシ如きでは容易に知り得ない何かが凄いのか、見当もつきませんでしたが、とにかく、これ以上、突っ込むのをやめることにしたのでございます。
しかし、つくづく彼の話を聞いていて、Love-Hateも長続きしますが、Love-Fearも長続きするんだな〜と思ってしまったのでございます。
ちなみに、ワタクシ共がひとしきり話が終わった頃に、彼女が戻ってきて、
「明日、早いから」
と、彼の腕をガシッと掴み二人は帰って行きましたが、彼女に引きずらるように去っていく彼を見て、
「Good luck…」
と言わずにはいられないワタクシがおりました。
以上、カマキリColumnでした。
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