金魚

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 こんちにはカマキリでございます。ワタクシは小学生の頃、金魚を飼っておりましたが、金魚はその外見と違って恐ろしくタフな生き物であることが分かり、今では彼らを小プレデターなどと呼んでおります。そこで本日は、その金魚について語らせて頂きたいと思います。

昨年の春(2019年3月)、近所の皆様の計らいで、父が育てていた菊やら植木やらの物を大量に貰って頂きました。

 その中には金魚も含まれていたのでございます。

 当初は、金魚は生き物なので、なかなか貰い手がないであろうという母の意見に従い、畑にある水槽で育てられていた金魚を、一旦、池に移そうということになりました。

 この時は家内も実家にいて、金魚の移送作業にやる気マンマンでござます。

 家内と母とワタクシの三人で水槽に行きますと、水槽の様子を見て、家内、ボー然。

 何分、父が長い間、床に伏せっておりましたことから、藻がびっしり付着し、水は濁っていて何も見えない。

 追い打ちをかけるように、母が、父の看病で忙しく、ほぼ半年位、餌をあげてないとの一言。

 「金魚、ダメかもしれないね…。」

 家内は珍しく弱気な様子を見せたのでございます。

❒ そこで、かつて小プレデターを育てあげたワタクシの出番です。

 「余裕でしょう。」

 ワタクシは家内に自信満々で言いました。

 準備作業中に家内に小学生時代に小プレデターを育てあげた経緯を話し、このような状態は金魚にはもってこいであると申しますと、

「冷たい人…」

とは申しませんが、それっぽいことを何やら。

「とにかく、すくってみな。」

 ワタクシは彼女に諭すように言いました。

家内は、そーっと網を入れ、ゆっくり奥に突っ込み、引き上げた時でございます。

 『バシャバシャバシャバシャバ~』

 やはり金魚は健在でした。

 あの小プレデター軍団がそう簡単に負ける訳はございません。

 「なっ!言っただろ?」

 「ホントだ~」

 家内は、呆気に取られていましたが、次の瞬間、

 『ガバ。ザクザクザク~。グルグルグル。ガバ。』

 そうでございます。家内は網をおもむろに入れ、奥深くに突っ込み、ここぞとばかりに水槽をかき回し、再び網を漁師のように引き上げたのです。

 ワタクシは家内に金魚のタフさを説明することに夢中で、彼女自身が本物のプレデターであることをすっかり忘れていたのでございます。

 それからは家内の独壇場でございます。網を水槽に入れグルグル引っ掻き回し、金魚がバシャバシャやっている暇もなく、あっと言う間に殆どすくい上げてしまったのです。

 その様は、それはもう見事なものでございました。

 「本物のプレデターは違う。」

 ワタクシは唸ってしまった程でした。

さて、ひとしきり金魚を取り終わり、池に入れる段階になりますと、驚いたことに家内は、金魚を一匹づつつに丁寧に入れてあげたのでございます。

 そして、バケツに入っていた金魚をあらかた入れ終わると、しゃがみ込んで、ジーっと金魚を見ながら一言。

 「金魚、可愛い♡アタシも飼おうかな~♡」

 ナント、家内は、ワタクシの小学生時代に抱いた感情と全く違ったものをもっていたのです。

 もう行くよ!と言っても、金魚をジーっと見ている家内を見て、ワタクシはつくづくプレデター同士は気脈が通じ合うんだなと感心してしまったのでございます。

 以上、カマキリColumnでした。

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