こんにちはカマキリでございます。私達はナルシストという言葉を聞くと、盲目的自己愛を思い浮かべ、どちらかと言えば否定的なものと捉えがちです。しかし、このナルシストという言葉に驚くほどの戦略的意味を与え、大成功した女性に会ったことがございます。そこで本日は、ストリート・イングリッシュ第5話『美の求道者』と銘打ち、醜から美へ大変身を遂げた女性の、素晴らしき金言をご紹介したいと思います。
❒ 以前、ご紹介させて頂いた「愛の伝道者」が他所に移転した後に、新宿歌舞伎町で出会った東南アジア人の女性が、本日、ご紹介させて頂く、「美の求道者」でございます。
とにかく、彼女と最初に出会った時には、その美意識の高さに驚いてしまいました。
足の先から頭の天辺まで、細部にわたって念入りなケアが施されていたのでございます。
ワタクシは思わず、
「美意識、高いね〜」
と申しますと、彼女は、
「分かる?」
と、ニコニコ顔で返してきたのでございます。
実は、彼女、以前は100㎏近い体重でしたが、ダイエットで半分以上、落としたとのこと。
「この写真、見て。」
彼女は、携帯を取り出し、一枚の写真を見せてくれました。
「ネー、肉の塊でしょ。」
「う、うん。」
ワタクシは彼女が余りにもハッキリ言いますので、思わず頷いてしまいましたが、確かに彼女が言うように豚さんでした。
とにかく彼女の凄いところは、本来なら隠したくなるようなことも、面白可笑しく、あけっぴろげで言うところでした。
彼女はワタクシに写真を見せながら、ダイエットのプロセスを事細かに教えてくましたが、その美しき女性になるまでのサクセス・ストーリーにワタクシはドンドン引き込まれていったのでございます。
❒ 彼女がダイエットを決意をするに至ったきっかけは、他の人に指摘されたというありきたりなものでしたが、それを遂行するプロセスが超絶クールでした。
まず、最初の段階では、自らの目標を明確にするため、とあるセクシーな女優さんのポスターをデカデカと部屋に貼ったそうです。
その際に、自分が良いと思う女優さんではなく、男友達の力を借りて、男性から見て綺麗と思う人を選んだとのこと。
「だって、自分が良いと思う人を選ぶと、この人なら自分でもいけるかな〜っていう甘えが入っちゃうから。」
と、彼女は説明してくれました。
次に、エクササイズの方ですか、ヨガを取り入れたそうです。
と、ここまでよかったのですが、彼女がダイエットの一環として「日本語の習得」を取り入れたと聞いた時には、
「はい?」
と完全に耳を疑ってしまいました。
彼女が言うには、人に言われたものを闇雲に取り入れても、自分のシステムは構築できないから、自分で考える力が養えるようにと、日本語を勉強したそうです。
「自分のシークレット・ウエポンを手に入れてこそ理想の女性になれるのよ。」
彼女は諭すようにワタクシに言ったのでございます。
ワタクシはこの斬新な彼女の発想にホトホト感心してしまいました。
さて、彼女の戦略的ルーティンの甲斐があってか数ヶ月後には体重が20kgほど減ったとのこと。
❒ しかし、その後、なかなかそれ以上は落ちない。
そこで彼女は食事の抜本的見直しをしたそうです。
それまでは、食事制限をしていたものの、パスタなどの麺類が大好きでどうしても多目に作ってしまう。
何か良い解決方法はないかとインターネットで検索していると、日本のコンニャク料理に出会ったとのこと。
早速、注文し試してみると、その効果は絶大だったそうです。
特に、色々な調味料を加えることができることから味のバラエティも豊富で、楽しんで食事制限ができたと彼女は申しておりました。
そして、半年後、体重計にのってビックリ!
ついに念願の目標体重に達したのです。
❒ しかし、せっかく美しく変貌を遂げた彼女でしたが、予想もしなかった大きな壁が待ち受けていました。
嫉妬の壁でございます。
彼女が言うには、体重がベスト体重に到達した2、3週間後には、回りの、
「綺麗になったね」
という声と同時に、
「元はブーちゃんだったから」
という声も聞かれ初め、それが原因でダイエットのルーティンも滞り、リバウンドし始めたそうです。
特に、SNSでのバッシングは相当なもので、彼女はもう元に戻して、バッシングされないようにしようかと思い悩んだとのこと。
しかし、フッと鏡を見た時、そこには光り輝いていた自分がいました。
彼女は思ったそうです。
「こんなに美しくなった自分を捨てるなんてもったいなさ過ぎる。」
彼女は、その日から徹底的な美の求道者になることを決意しました。
たとえ誰に何を言われようが美しき自分を磨きあげる。
そして彼女はとても謙虚に、
I’d say “Love yourself and be a narcissist”.
(「己を愛せ、そしてナルシストたれ」かな。)
と言ったのでございます。
彼女は、自分がピンチになると、このセリフを心で唱え、上手く切り抜けてきたそうです。
「余り精神論には頼りたくないけど、それも目的を達成するための重要な要素かな〜」
と申しておりました。
ワタクシは今までこれほどまでに説得力のあるナルシステックな表現を聞いたことがございませんでした。
一見、陳腐な表現でも、そこに実績なり経験なりがあると黄金の言葉になるんだな〜とつくづく思った次第です。
❒ ちなみに、彼女に、
「ボーイフレンドはどんな人?」
と尋ねましたなら、携帯を取り出し、一枚の写真を見せてくれました。
そこに写っていたのは、かつての彼女同様、ポッチャリ型の男性でした。
ワタクシは少し意外に思い、
「どうして太めの男性を選んだの?」
と聞きましたなら、
「だって彼の葛藤が分かるもん。それに彼はストレスの多い仕事だから、太ってバランスを保っているなら、それで良いわ」
と返してきたのでございます。
ワタクシはこの時、彼女こそ、心の美も併せ持った、真の美の求道者であると思ったのでございます。
以上、カマキリColumnでした。
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