こんにちは カマキリでございます。
❒ 今年の夏(令和2年7月27日)、渋谷を散歩していますと、携帯販売店の前で二人の男女がキャーキャー騒いでおりました。
ワタクシは何事が起ったのかとそちらを見ますと、そこの販売員の方々がセミの取り扱いに困っていたのでございます。
どうやら、セミは羽を怪我しているらしく、店の前をグルグル回っておりました。
お二人はまだ若く、セミが動くたびに、
『ウギャー』
という、この世のものとは思えぬ叫び声を挙げていたのでございます。
さらに、女性店員の方が、おびえながら、
「セミって気持ち悪いよね。」
と呟いたのでございます。
「えっ?セミは気持ち悪いものなの?」
ワタクシは不思議な気持ちに包まれ、その場を通り過ぎたのでございます。
その後も、ワタクシは、女性店員の方の言葉が頭から離れず、
「セミは、何年も土の中にいて、やっと地上に出てきたのに、キモイなんて…。」
と、どうにも納得できない気持ちでいっぱいだったのでございます。
❒ それから数日後のことです。
その日は東京の夏にしては珍しく涼しい日だったので、ワタクシはクーラーをつけず、窓を全開にしていました。
夜も12時を過ぎた頃でしょうか、フッと窓に掛けてあるスダレを見ますと、なんとセミがとまっていたのでございます。
そのセミはジーとも鳴かずに、たたずんでいました。
ミンミンゼミでした。茶色がかったアブラゼミではなく、ちょっと小ぶりで緑色の配色が美しいセミでございます。
ワタクシは家内に見せようと、ソーっと近づき捕獲しました。
家内に見せると、
「うわーーー!!」
家内は大声をあげて喜んでくれたのでございます。
❒ 家内の指示で大急ぎでスマホを取り出し、写真を撮り、それを見せると、
「セミってなんかキモイね…。」
なんと、女性店員の方と同じことを呟いたのでございます。
ワタクシは衝撃を受け、涙目で写真をみると、
「ほんとだ…。」
そこに写っていたのは、まさに宇宙人でした。
針のようにキューと尖った口、適度に離れた目、そしてこの世のものとは思えぬ配色。
ワタクシは今までセミを気持ち悪いなどと思ったことはございませんでした。
子供の頃はよく採りましたが、その時は寧ろ喜んでいたくらいでございます。
考えてみれば、セミの顔をマジマジと見ることなんて普通はしません。
テクノロジーとは、まことに残酷であると、つくづく思ったワタクシでございました。
以上、カマキリColumnでした。
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