こんにちはカマキリでございます。以前、ストリート・イングリッシュと銘打ち、ワタクシが街で獲得した英語の基本フレーズをご紹介させて頂きましたが、本日はその第二弾として、ストリート・イングリッシュ『知的なアウトサイダー』というタイトルで、粋なフレーズをご紹介させて頂きたいと思います。
❒ アフリカの魔女と出会った頃と同時期だったでしょうか、ワタクシは一人の南米出身の青年と出会いました。⇒『アフリカの魔女?!』は、こちらです。
その日は少し酔いが回っていたので、何気なく新宿の街をブラブラ歩いていると、一人の若者が声をかけてきたのでございます。
ワタクシはいつもの社交クラブへのお誘いかな~と思い、
「今日はいいわ~」
と言うと、彼はしつこくアプローチをかけてきたので、ワタクシは少々面倒になり、
「今日は無理!」
とキツめに言うと、
「違う違う」
と手を振り、社交クラブへのお誘い以外のことを何やら話してきたのでございます。
どうやら彼は以前にワタクシを見かけたことがあるらしく、それで声をかけたとのことでした。
❒ ワタクシは、アイスクリームが食べたくなったので、彼と共に近くのコンビニへ行き、二人してアイスを食べながら色々な話をしたのでございます。
彼は3年前に来日し、今は社交クラブのマネージャーをしており、また、日本人の女性と結婚していると、自らを紹介してきたのでございます。
ワタクシは最初に彼と話をしている時には、ありきたりなパターンかな~と思いましたが、彼の鋭い洞察力にドンドン引き込まれていったのでございます。
とにかく彼は歌舞伎町の色々な出来事に精通しておりました。
歌舞伎町の複雑な関係を見事に解き明かしていたのでございます。
❒ ひとしきり歌舞伎町のその当時の様を話し終わりますと、彼は自分の所属しているコミュニティの話へと移っていきました。
すると、
「結構、大変なんだ…」
と、ホトホト困り果てたという表情で呟いたのでございます。
彼の所属するコミュニティは、ここ最近、日本に来る南米の人達が多くなっていることから、相当な規模になっており、それと共に、コミュニティのブロック長でもある彼の心労は極限に達しているとのことでした。
ワタクシは何気なく、
「コミュニティの長に頼めないの?」
と尋ねますと、彼は大きく手を振り、
「それができれば苦労しないよ。」
と返してきたのでございます。
彼の所属するコミュニティの長は、コミュニティのことは殆ど彼に任せっきりで、彼はもうなす術もないという感じでした。
さらに、
「コミュニティの質がドンドン低下し歯止めが効かなくなっている。」
と吐き捨てるように言ったのでございます
ワタクシは、どの世界も大変なんだな~と思い、大きく相槌を打った瞬間でございます。
「It says “Bad money drives out good .”」(悪貨は良貨を駆逐するって言うじゃない。)
『Gresham’s Law (グレシャムの法則)』
と、彼がポロッと言ったのでございます。
ワタクシは驚いてしまいました。
まさか、ここでグレシャムの法則を聞くとは思わなかったからです。
いや、それよりもむしろ、グレシャムの法則をここまで適切に彼が使ったことに、ワタクシは驚嘆してしまったのでございます。
グレシャムの法則は、通常、悪が蔓延ると善が滅びるという状況を表すフレーズとして用いられますが、社会が複雑化し、全てを善悪で区切ることができなくなった今日においては、団体の衰退を表す兆候として使うのが適切であると言われています。
ワタクシが驚いた顔をして、
「頭、良いんだね。」
と申しますと、彼は、
「まあね」
と言い、その後も彼の身の回りの出来事を止めどもなく話してくれたのでございます。
私達の会話は殆ど彼が喋り、ワタクシが相槌を打つという感じでしたが、鋭い洞察力を持つ彼と話ができた幸運に、ワタクシは大変、感謝をいたしました。
❒ 数ヶ月後、ワタクシは再び歌舞伎町にいきましたが、彼は元気にしてるかな~と思い、以前、彼と出会った場所の近くにいた外国人の方に、
「彼は元気?」
と聞くと、
「国に帰ったよ。もう戻らないと思う。」
と申しますので、ワタクシは少々驚きました。
しかし、よくよく考えてみれば、彼は誰にも言えない気苦労を抱えていたわけですから、日本を立つ前に、利害関係のないワタクシに胸の内を吐露したのだと思われます。
いずれにしても、あれだけ頭脳明晰であれば、どんな世界にいったとしても、彼がよく使っていた、
「Big shot」(大物)
になるだろうな~と思ったワタクシでございました。
以上、カマキリColumnでした。
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